【不動産会社】仲介手数料無料のからくり

仲介手数料無料の不動産会社

不動産取引での「仲介手数料無料」サービスは、表面上顧客にとって有益に見えるものです。

しかし多くの場合、隠れたコストリスクが潜んでいます。

 

実際にこのようなサービスは必ずしもカスタマーファーストというわけではなく、不動産会社が他の方法で収益を上げるために提供されることも多いので要注意です。

そのため取引時にトラブルを誘発させることもあるため、よくよく注意しましょう。

不動産屋が仲介手数料無料を無料にできるカラクリとは?

結論から言うと、基本的に不動産屋が仲介手数料無料を無料にできるのは「別のところで費用をもらっているため」です。

大分化すると、以下の4点だといえます。

 

・売主からの手数料受取

・売主による買主手数料の負担

・自社物件の売却

・企業努力による無料化

 

後者2つは別でもらっているわけではないものの、ほとんどの場合は前者2つのどちらかです。

以下より詳しく解説します。

売主からの手数料受取

不動産業者は、一般的に売主から仲介手数料を受け取ります。

この手数料は売主が物件を売却する際に発生する費用であり、不動産会社が提供する広告やマーケティング、物件の見学調整などのサービスに対する対価です。

 

しかし手数料無料の場合、不動産業者は売主から受け取った手数料の一部を買主のために補填し買主にとっての手数料を免除することがあります。

このようにして、買主は仲介手数料を気にせずに物件購入が可能になります。

売主による買主手数料の負担

売主が買主の手数料を負担するパターンもあります。

これはとくにに競争が激しい市場や、速やかに売却を進めたい場合に見られる手法です。

売主は買主の仲介手数料を自身が支払うことで買主にとっての購入負担を減らし、物件が魅力的になるよう工夫します。

 

主に高価格帯の物件や、早期売却が求められる物件で有効です。

名目上存在して誰かが負担している以上実質無料にはなっていないものの、買主からしたら無料という印象を受けるでしょう。

自社物件の売却

不動産会社が自社の物件を売却する場合、仲介手数料を無料に設定することがあります。

これは不動産会社が既に物件の所有権を持っており、外部の仲介業者を通さずに直接販売することが可能なためです。

 

この場合仲介手数料の代わりに、不動産会社は物件の売却から直接利益を得ることができます。

もちろん自社保有の物件しか扱っていないという不動産会社はまずないため、全てが仲介手数料無料という不動産会社はこのパターンではないといえるでしょう。

企業努力による無料化

コスト削減効率的な営業手法を極めれば、仲介手数料を無料にすることも可能です。

インターネットの利用拡大により、オンラインでの物件紹介や仮想見学など、従来の高コストな手法に代わる新しい方法が登場しています。

これにより経費を削減し、その節約分を仲介手数料の無料化に反映させることも可能です。

 

しかし不動産会社において広告宣伝費や人件費・経費を減らすことは非常に困難であるため、この手法のみで手数料無料を実現している不動産会社もまずいないでしょう。

仲介手数料無料の不動産会社を利用するデメリット

仲介手数料無料のサービスは魅力的ですが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。

 

・物件選択の制限

・潜在的な追加費用

・詐欺的な行為のリスク

物件選択の制限

仲介手数料が無料になる物件は、特定の条件を満たしていなければならないケースがあります。

その場合は市場に出ている全ての物件が仲介手数料無料の対象になるわけではないため、選択肢が限定される可能性もあるでしょう。

 

とくに特定のエリアや価格帯の物件に限られることが多いため、手数料無料にこだわりすぎて理想の物件を見つけるのに苦労することも。

また仲介手数料無料の物件は人気が高くなるため、競争が激しくなり希望する物件を確保するのが難しくなる場合もあります。

潜在的な追加費用

仲介手数料無料を提供する不動産業者の中には、別の名目で追加費用を請求する場合があります。

書類作成費や契約手数料などが含まれることがあり、結果として総コストが実は高くなることもしばしば。

 

そのため物件を選ぶ際には、総コストを明確に把握し、追加費用が発生しないか事前に確認することが重要です。

詐欺的な行為のリスク

不動産業者が仲介手数料無料を宣伝しているにもかかわらず、実際には別の形で手数料を上乗せする詐欺的な行為を行うリスクも存在します。

例えば物件価格に仲介手数料を含めていたり、不透明な費目として手数料を請求することがあるので要注意です。

 

物件購入時にはすべてのコストが明確であるかどうかを確認し、疑問点があれば不動産業者に問い合わせるようにしましょう。

売主様は要注意!不適切な見積もりによるトラブル事例多数

仲介手数料無料で集客をした末に、不適切な提案をする不動産会社も多々あります。

以下より2つ、実際にあったエピソードをご紹介します。

ケース①横浜市南区でマンションを売却したお客様

30平米ほどの新耐震マンション。
ミニキッチンでなくシステムキッチンを備えた駅徒歩1分の好立地な一室を売却しようとしたお客様が、弊社と手数料無料のA社に同時にお話を聞きに来られました。

 

その際、弊社では約1,200万円ほどで見積もりを出しましたが、A社は1,000万円を下回る値をつけたそうです。
そして弊社の金額をA社に伝えたところ、「10日くらいしたら絶対値下げさせられますよ」「やらせちゃダメですよ」といったことを言われたそうです。

 

ただし弊社では、お客様にお見積もりをお出しする際は地価や販売実例などを交えて、公的資料を基にした精度の高い査定書をお出ししております。
そこをご信頼いただいてか、お客様からも「可能性があるならクレアールさんでやってみたい」と言っていただけたようです。

 

お客様のことも考えて、取り急ぎ1ヶ月専任でやってみましょうとお話したところすぐ買い手がつきました。
最終的には、当初お出しした金額のまま買い手が付き、お客様からも「信じて良かったです」とのお言葉をいただきました。

 

おそらくA社の手法としては、手数料無料で集客し安く買い取った後は自社の利回りを鑑みて金額を提示するといったものです。
広告費をかけて手数料をカットした分、仕入れ値を安くして業者に高く売って、損益を回収するモデルだったのでしょう。

 

仲介手数料無料という売り文句で集客をして、来られたお客様に対して不誠実な契約をしようとする例ですね。

仲介手数料無料の口コミ①

ケース②横浜市南区で賃貸管理の委託を検討していたお客様

保有している物件の賃貸管理をご検討されているお客様が、弊社と手数料ゼロ業者(B社)とやり取りしたお話です。

 

お話をいただいた際、不動産が高値になっているため空くなら売却してもいいのではないか?というご提案をしました。
お客様も同意されて、弊社が4,500万円の査定書を出したところ、B社は4,800万円の見積もりを出したのです。

 

もちろん時間をかければその値段も不可能ではないかもしれませんが、弊社が危惧していたのは控除について。
12月中の売却であれば控除を受けられて、3000万円まで非課税になるのです。


3年を超えると課税対象になり短期譲渡だと39%長期譲渡だと13%であるため金額としては非常に高額になります。

そしてお部屋が空くのが12月の後半になるため、それまで内覧等は一切おこなえません。

 

部屋を見れない物件を4,800万円で…というのはとても現実的でなく、早く売らなければいけないお客様の状況を考えていない提案だと感じました。

ちなみに中を見ずに物件情報のみで買ってくれる業者の場合、相場感的に3,500~4,500万円程度が現実的なラインです。

 

その中で最大限高値でご提案が出せたと思ったのですが、手数料を負けてくれるからという理由でお客様はそちらにご依頼をしてしまいました。
悪い結果にならないことを願っていますが、残念ながら2023年12月下旬現在成約はしていない状況です…

 

査定書でも普段のご提案でも、弊社は長年地域に根付いた経験と、公的数値が示す根拠を基に提示しております。
そのうえで世情やお客様の利益を考えてご提案をさせていただくのですが、結果として目に見える金額が少なく見えてしまうこともあります。

仲介手数料無料の口コミ②

仲介手数料無料は魅力的だが本質には要注意

仲介手数料無料の不動産会社における注意点などについて解説してまいりました。

 

総括すると、仲介手数料無料の不動産会社はお客様目線で魅力的であることは間違いないのですが、本質には気を付けなければなりません。

不動産売買における命題は仲介手数料が無料になることでなく、売却価格や購入価格をはじめとするお客様の利益が最大化することです。

手数料が無料になったところで、お客様が損をしてしまうようでは意味が無いので注意しましょう。

 

不動産売買における注意点について、ここに書けないようなお話も多くありますので、ご興味がある方はぜひお問い合わせくださいませ。