賃貸住宅の初期費用は何がある?種類を紹介
賃貸住宅に住むと、毎月家賃を支払うことになります。
しかし、必要な費用はそれだけではありません。賃貸住宅へ引っ越す場合には、一般に「初期費用」と言われる各種費用がかかってきます。
初期費用にはさまざまな種類があり、意外と金額がかかってしまうもの。ここでは、そんな初期費用一覧をご紹介するとともに、大体の費用感をお伝えします。
初期費用の種類①「敷金」「礼金」
まず、賃貸住宅における代表的な初期費用の費目として敷金・礼金が挙げられます。
まず敷金ですが、これは入居者が賃貸物件を借りる際に家主に預ける保証金です。
敷金があることで、物件に損害を与えられた場合や、家賃の未払いがあった場合に、家主が補償を受けられます。
敷金は家賃の1〜2か月分が一般的で、退去時に物件に損害がなく、家賃の未払いがなければ全額返却されることも少なくありません。
続いて礼金は、賃貸物件の家主に対して、入居者が感謝の意を示すために支払われる金額です。
礼金は敷金とは異なり、入居者が退去した際には返却されません。
こちらも家賃の1〜2か月分であることが多いです。
ただし最近では賃貸市場のトレンドが変化しつつあり、礼金が不要な物件も増えてきています。
敷金と礼金は、入居者が賃貸物件に入居する際の初期費用として重要であり、物件選びの際には注意して検討することが求められます。
最近では、敷金や礼金が低い物件や無しの物件が増えており、賃貸市場の多様化が進んでいるので、希望条件に適合する住宅を根気よく探してみるのもよいでしょう。
「敷金・礼金」とは言わない? 地域ごと・物件ごとに異なる習慣
初期費用の中には、地域や物件によって金額や名称、条件が異なるものがあるので、あらかじめ確認することが必要です。
首都圏では上述したように、「敷金」「礼金」の二種類の支払いを求められるのが一般的です。敷金は、退去するときの原状回復に充てられるもので、家賃の1~3カ月分のことが多く、退去時に返却してもらえます。それに対して礼金は、その名の通り大家さんに対する「お礼」で、1~2カ月が一般的です。礼金は返却されません。
関西ですと、敷金・礼金の代わりに「保証金」という制度が多く見られます。敷金と同じように、退去時の原状回復費用として一定程度差し引いてから(「敷引き」と言います)返却されるのが一般的です。保証金は家賃の1~5カ月分程度、敷引き額は、保証金の半分程度のケースが多く見られます。
最近では、首都圏以外でも敷金・礼金制度を採用している物件も多くあります。費用の名称や徴収方法、金額などは地域差のみならず物件差も多いので、あらかじめWebサイトやチラシの情報、契約書などの記載事項を確認するようにしましょう。
初期費用の種類②「前家賃」「日割りの家賃」
敷金や礼金、保証金以外の初期費用として同じく代表的なものが「前家賃」です。
前家賃とは、入居した後に訪れる次の月の分の家賃を前倒しで支払うことを指します。
そのため金額は、家賃1か月分+管理共益費です。
続いて「日割りの家賃」ですが、こちらは入居日から月末までの日数に、1日当たりの家賃をかけて算出されます。
◆例:家賃9万円の場合
4月21日に入居した場合(4月の残り日数10日)
90,000/30=3,000円(1日当たり)
→3,000×10=30,000円
前家賃と日割りの家賃は初期費用としてまとめて支払うことがほとんどですので、覚えておきましょう。
初期費用の種類③火災保険料
敷金礼金や家賃のほかにも、火災保険の保険料がかかります。
賃貸物件の場合、入居者に加入を義務づけているもので、年間1万5000円~2万円が相場です。
初期費用の種類④鍵の交換費用
鍵を交換する場合は、その鍵の交換費用も必要です。
物件によっては、入居者が負担するのか貸主が負担するのか異なることがありますので、事前に確認しましょう。
一般的な金額としては、1万円~3万円以内であることが多いです。
初期費用の種類⑤仲介手数料
物件を「仲介」してくれた不動産会社には「仲介手数料」を支払います。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法(宅建法)で家賃の1カ月分以内(消費税別)と定められています。
そのため、最大でも家賃1か月分と考えておきましょう。
初期費用の種類⑥その他の諸費用
賃貸住宅によっては、保証会社の契約を必要とする場合があります。
また地域や物件ごとに、独自の費用が発生する場合も少なくありません。
具体的な金額は費目によってまちまちですが、不動産会社が取り扱う物件情報の備考欄などに金額と共に記載されているため、都度チェックしてみましょう。
【合計すると…】初期費用は最低でも家賃3か月分必要
一般的な賃貸住宅の場合、初期費用の相場は家賃3か月分ほどになります。
敷金か礼金のどちらかがある場合は4か月分、どちらもある場合は5か月分です。
また細かい特殊な費目がある場合は、さらにもう1か月分増えて家賃6か月程度が初期費用の相場になります。
もちろん細かい条件による差異や、敷金礼金がそれぞれ1か月分でなく1.5か月~2か月ほどかかることによって相場は変動するので、正確な金額については入居の時期が分かる段階で仲介業者に確認してみるとよいでしょう。
【結論】関東だと家賃半年分+引越し代は貯めるべき
以上を踏まえると、賃貸住宅を借りるとき、家賃だけを見て決めてしまうと、あとで初期費用の高さに悲鳴を上げることになる可能性が高いと言えます。
地域や物件ごとに条件は大きく異なるのですが、関東ですと家賃半年分は初期費用としてまとめて支払うことになると考えましょう。
たとえば、家賃が8万円の物件に入居する場合、初期費用は50万円前後が相場です。
また「初期費用」のカテゴリーには含まれませんが、引越し代金や家具・電化製品の購入費用も考慮する必要があります。
転居に伴う費用として、初期費用にこれらの料金を加えた金額は貯金しましょう。
引越し会社の相見積もりを取ったり、中古家具・電化製品を購入したりすることで費用を抑えられる可能性はあります。
それでも、引越し距離や購入物品の数によっては、数十万円が必要です。
初期費用を抑えたいならフリーレントや敷礼無しの物件を探しましょう
費用を抑えるためには、家賃だけでなく、初期費用の条件に着目するべきでしょう。
最近では、敷金や礼金、保証金などがない、あるいは安い物件も増えています。
また「フリーレント」といって、入居後しばらく「無料期間」として家賃の支払いが不要となる物件もありますし、仲介手数料が安い物件もあります。
初期費用の条件や金額は多様化の傾向にあるので、少しでも安い物件を探すのであれば、インターネットや雑誌などを通してじっくり情報を得るようにしましょう。
賃貸についてわからないことがあったら、ぜひお気軽にご相談ください。